林 象2「孤独に歩め」「林の中の象のように」
「久し振りだな少佐。今はなんと呼ぶべきかな」
「正確には衛星経由で私の一部がロードされてるだけよ」
かつて、『男』が少佐と呼び、草薙素子と認識されていた、その「ゴースト」を持つ者。
どう呼べばもなにも、一部が入っているだけの、端末状態。
端末に過ぎない擬体にベストを羽織らせ、女性扱いする『男』。
「変わってないわね」
『女』が発した言葉の温かさ。
「行けよポイントマン。後ろは俺が固める…昔のようにな」
ポイントマンとは、戦術的に最初に進む人。優秀でないと、危険度が増すわけで、服を羽織らせても、そこに送り出すという不思議な関係性を垣間見せるやり取りとなっている。
戦闘が終わり、別れの時。
「孤独に歩め、悪をなさず、求めるところは少なく」
と、語る『女』。
『男』が続ける。
「林の中の象のように」
言葉を続けられるということは、その前にどんな言葉があるかも知っているということ。
「愚かな者は、道伴れにするな」という戒めの言葉。
口に出さすとも、互いに知っている。
『女』が口にした「行くわ」という言葉。
耳にした途端『男』には『彼女』が道伴れにならないのは、自分が愚かな者だということか、という絶望しか無かっただろう。愚かであるという判断に対するものでなく、道伴れにならないという「宣言に聞こえた言葉」に対しての絶望。その絶望がかすかな希望へと変わる瞬間。
「バトー、忘れないで。貴方がネットにアクセスするとき、私は必ず貴方の傍にいる」

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