トランス トゥ ホムンクルスで浮かぶ
TRANCE TO HOMUNCULUS(鋼の錬金術師キャラクター・ソングブック第3弾「アルフォンス・エルリック」収録)で頭に浮かぶ映像を前に書いたけど、消灯して1回は聴くのが日課になってんだけど、夜な夜な聴きこんでると、より自分でしっくりくる映像、感覚が出てきた。
最初、くぐもった声で聞こえてくるホムンクルスの声っていうのは、まるで、微妙にチューニングのずれたテレビから砂の嵐とともに聞こえてくる音声のよう。
「あちら」の世界が見えるような「窓」が目の前にあるようで。
6人のホムンクルス。エンヴィー、ラスト、グラトニー、グリード、そして、プライド、ラースが、代わる代わる、一言ずつ発して、消える。
体を液化するスロウスが、現れる。
「さぁ」
くぐもった声。一息ついて、
「いらっしゃい」
「こちら」の世界に上半身を出したがゆえのように、明瞭な言葉。
差し出される腕。引き込まれる、「あちら」側の世界。
再び、但し、耳元で、エンヴィー、ラスト、グラトニー、グリード、そして、プライド、ラースが、代わる代わる、一言ずつ発して、消える。
始まる、「トランス」。
トランス:催眠状態などの場合に見られる、常態とは異なる精神状態。この状態では通常の意識が失われ、自動的な活動・思考が現れる(広辞苑)
じどう‐てき【自動的】:他の力を借りず自分の力で動くさま(広辞苑)
失われる、「通常の意識」とは、しがらみから逃れられない人間だから、限界を知る生身の人間だから、持ちうるものなのだろうか。
マーテルさんという蛇のキメラとされてしまった女性、元・軍の特殊部隊の人で、口封じで研究所に送られ生体実験された女性、が、アルの鎧の中に隠れて、背後には笑顔で立つ大総統(ホムンクルス)が居て、ゆっくり鎧の隙間、口か、から剣を差し込まれて殺されてしまうことがあったのだけど。
「キメラは処刑したよ」
って台詞で、そのシーンを思い出して、トランス。
映像の無い音だと、ついつい映像を想像してしまうから、まるで自分でPVを作るとしたらと勝手に動いてしまう想像力のせいで、アルの鎧の体の中で息をひそめている「自分」が浮かんできた。
アルが見るものを、自分も見ることになる状況。
アルが聞くものを、自分も聞くことになる状況。
アルが感じる気配を、自分も感じることになる状況。
アルが感じる緊張感を、自分も感じることになる状況。
アルが感じる不安を、自分も感じることになる状況。
延々と繰り返される音楽と言葉。
トランス。
「さぁ、いらっしゃい」
と引き込まれ、
アニメでは、ラースに向けられた
それが食べれるってことは、お前も人間じゃないんだよ
って台詞があるのだけれど、その言葉を向けられたラースは、
「みんな人間になりたいんだ」
「僕は人間になる」
と、まだ幼い子の声で言ってて、切なくなる。
更に延々と繰り返される音楽と言葉。
トランス。
「さぁ、いらっしゃい」
更に、引き込まれ。
「キメラは処刑したよ」
蘇る、アルの記憶。
かつて、「自分」と同じように鎧の体に居た、殺された「女性」。
生きている、「自分」。
一体と思っていた、アルと「自分」との距離。
それを認めざるをえない、状況。
最後の最後に向けられる言葉。
「お前も人間じゃないんだよ」
と、それは、まるで、アルに向けられた言葉のようになってて。
アルの鎧の体の中に居る、「自分」。
まだ、幼いアルの声。
年数は経てしまったけれど、成長することのない、アル。
「人間だよ」と叫びたくても、出てこない「私」の声。
ただ、黙っている状態の「自分」。
アルが普通に人間であれば、「そこ」、鎧の体の中に存在しえようのない「自分」。
アル人間であることを否定してしまっている、「自分」。
「さぁ、いらっしゃい」
と優しく引き込まれ、放り出される、「こちら側」の世界。
こちら側の「私」。
母親でありながら、母親として接するべき幼子は、まるで、門の向こうからの黒い手にもぎ取られたような状態で。
そして、時を経て、父親である元夫が裁判所の決定を無視するから仕方のない状態なのだけど、今、かつての幼子、小学校4年生になる息子にしてみれば、もしかしたら、私こそが黒い手となってしまうのかもしれないという状況になってきて。
なんともいえない、放り出される、「感覚」。
それでも・・・納得できないから、裁判を提訴してくんだけど。
暴力だってあったし、元夫が息子に酷くあたらないよう牽制をかけるという意味くらい、あるだろうし。
失ったものを取り戻す、旅。
再現する、なんともいえない、気持ち。
曲を聴いている間、より、曲を実際に聴いてなくて思い出している時の方が、モチーフとなっているセリフが、ゆっくりと自分の中で再現されていくので、ヒタヒタとくるものがあるのか。
他のことをしつつ、リピート、再生を繰り返すと、常に認識して聞いてるわけじゃないから、時折、ポンとかすめてく、か。
セリフ以外の音楽が、きっちり、カッチリとした曲じゃないから、記憶の中ではリピート自在って感じでもあり。
想像するだけの「隙間」もあって、それで、すごいなって思った気がする。
「隙間」
すごい感覚。
7人揃ったとか、「俺は、"強欲"だからよ」という台詞がアニメであったので、七つの大罪で検索したら、そうだったみたい。
【七つの大罪: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』】
「ラースと呼べ!」
って、憤怒ってことなら・・・なんとなく、「あの子」の自分が人間でない憤りとか、込められたような、すごい台詞だ。
イズミさんに、向こうへと通じる扉へと差し出される、赤子の彼が思い出されてしまう。
憤怒、に、ふさわしい者にもなるだろうて。
女性の声のコーラスが哀しく聴こえる。
石黒さん・・・良い。
(少し加筆20050514)
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