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林 象2「孤独に歩め」「林の中の象のように」

「久し振りだな少佐。今はなんと呼ぶべきかな」
「正確には衛星経由で私の一部がロードされてるだけよ」

 かつて、『男』が少佐と呼び、草薙素子と認識されていた、その「ゴースト」を持つ者。
 どう呼べばもなにも、一部が入っているだけの、端末状態。

 端末に過ぎない擬体にベストを羽織らせ、女性扱いする『男』

「変わってないわね」

『女』が発した言葉の温かさ。

「行けよポイントマン。後ろは俺が固める…昔のようにな」

 ポイントマンとは、戦術的に最初に進む人。優秀でないと、危険度が増すわけで、服を羽織らせても、そこに送り出すという不思議な関係性を垣間見せるやり取りとなっている。

 戦闘が終わり、別れの時。

「孤独に歩め、悪をなさず、求めるところは少なく」

と、語る『女』
『男』が続ける。

「林の中の象のように」

 言葉を続けられるということは、その前にどんな言葉があるかも知っているということ。
 「愚かな者は、道伴れにするな」という戒めの言葉。
 口に出さすとも、互いに知っている。

 『女』が口にした「行くわ」という言葉。
 耳にした途端『男』には『彼女』が道伴れにならないのは、自分が愚かな者だということか、という絶望しか無かっただろう。愚かであるという判断に対するものでなく、道伴れにならないという「宣言に聞こえた言葉」に対しての絶望。その絶望がかすかな希望へと変わる瞬間。

「バトー、忘れないで。貴方がネットにアクセスするとき、私は必ず貴方の傍にいる」

 「ネットにアクセスする」
 それが、どれほど危険なものか。

 ロクス・ソルスにアクセスするトグサ(生身で一部電脳化するのみ)に、

「パカヤロー、無茶するんじゃねえ!」

と言った後、自分は吹き抜けからダイブし、途中、キャットウォーク3層分はへし折って着地する。擬体化しているバトーだから自分の行動よりも、アクセス時間に比例して脳が焼ききられる可能性が高くなるトグサの行動の方が「無茶」なのだ。

 自分(男)が危険な時に、傍らに危険を顧みず舞い降りる者(女)を、なんと呼べば良いのだろう。
 「伴侶」ではない。でも、ネットという場では「道伴れ」でいてくれるという。

われわれの愛もまた科学的であってはいけないいわれがありましょうか

 何を求めるか、何が必要か、何があれば十分か。

 初稿脚本では「貴方がネットにアクセスするとき、私は必ず貴方の傍にいる」という言葉はなく、「林の中の象のように」「行くわ」となっていた。
 初稿では、『男』の中で生じるであろ理解、「愚かな自分故に残されていく」という救いのない幕切れであったものが、映画では成就の形になっている。バトー的には成就と思えないだろうけれど、それは、ネットに融合した少佐と、ぬくもりや愛情を注ぐ対象として犬を抱くバトーとの越えられない価値観、かと思う。

 「ネットにアクセスするとき」という言葉。
 視聴者が、作品世界においての、その危険さを感覚として理解できたら、「私は必ず貴方の傍にいる」の重みもズシっと理解してもらえると思うのだけど。感受性の問題にもなってくるので、簡単ではないのかもしれない。
 公開当時のキャンペーンで、感想文募集があって、ネットに100本公開されたのだけど、普通に感想文だった。私の文が載ったくらい。
 公式サイトの重いSWFファイルの読み込み中(Now Loading)の表示に「正在読解」とあったので、感想文では、感じたこと、思いつくことを書き出しながら、それらを繋ぐ言葉、しおりのようにはさんでいった。作り手の「思い」の一部のロードに過ぎないし。
 感想文の番号は96番。この番号は、イシカワのジャンパーの背番号で、ジャンパーの正面にはRP、PRを逆にしたものがあったので・・・ムク(69)を逆にした番号をもらえて、そう間違いでもないのかと思えた。

理解なんてものは能力でなくおおむね願望に基づくものだ

・・・ゆえに、まだまだ、ロード中。これからも、時々ロード、だろう。

 ガイドDVDなんてのも、BOX発売時には付いたくらいなので、言葉のやりとり、行間てのは理解しにくいものなのだろうか。
 100本の感想文は、一応全部PDFにして保存してあるので、「わかっていたわよ、よく読んで頂戴」なんて方がいらっしゃったら・・・私も読み返せる状態ではあります。謝る体勢は出来てます。。。

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